各診療部門紹介
血液腫瘍科
当科が担当するのは主に化学療法、造血細胞移植ですが、診断から全体的な治療方針の決定を中心となって行っています。当院の小児に特化した専門性の高い診療科・部署と連携し、高度な集学的治療、手厚い患者・家族の支援を行い、患者さんひとりひとりが最善の医療を受けられるように、チームとして診療に取り組んでいます。また、県内外の専門施設とも連携し、よりよい診療を目指して日本小児がん研究グループ(JCCG)の多施設共同臨床研究にも積極的に参加しています。治療終了後も、長期フォローアップ外来を中心に、適切なフォローアップを行っています。がんゲノム医療連携病院として、小児がんゲノム医療に取り組んでいます。
小児外科
小児外科は神経芽腫、腎腫瘍、肝腫瘍、胚細胞性腫瘍(卵黄嚢癌、奇形腫)、その他の希少がんなど胸やお腹にできた腫瘍の治療に関わり、小児がん認定外科医、がん治療認定医が担当しています。具体的には、腫瘍の生検(手術で腫瘍を少し切り取り、検査を行う)、中心静脈カテーテル挿入(化学療法で使用するチューブ留置する)、原発巣や転移巣の腫瘍摘出などを行います。上記以外の腫瘍(脳腫瘍、白血病、悪性リンパ腫等)についても、生検やカテーテル挿入は、小児外科が担当しています。また、痛みの少ない胸腔鏡や腹腔鏡による低侵襲手術も積極的に行っており、頑張る患者さんに寄り添った治療を提供したいと考えております。
脳神経外科
脳神経外科は、こどもに発生する様々な脳腫瘍に対して手術を中心とした外科治療を担っています。「こどもの脳にメスを入れる」ということは、患者さんご本人にとってもご家族にとっても、衝撃や恐怖が大きいです。私たちは少しでも不安が軽減できるよう、安心して治療を選択できるよう、どんな治療方法が最善となり得るかを、患者さん本人にもご家族にも画像や絵を使いながら、丁寧に繰り返し説明します。また脳腫瘍の治療後はいろいろな合併症を併発することがあります。長期的なサポートはもちろん、長期フォローアップ外来にも参画して、脳腫瘍を克服したこどもたちが、自律して大人になるためのサポートを行っていきます。
泌尿器科
泌尿器科では、主に尿路や男児内性器(尿管、膀胱、尿道、前立腺、精巣など)に発生する腫瘍に対する外科的治療を行っています。下部尿路(膀胱、尿道)腫瘍や前立腺腫瘍の手術治療では、人工膀胱の造設など、尿の出口を切り替える治療が必要になることが多くあります。そのため、WOCナースと呼ばれる、尿・便失禁や人工膀胱・人工肛門を専門的に取り扱う知識、技能、経験を有する看護師と連携して治療に取り組んでいます。
術後の患者さんの生活の質の最大限の向上を求め、より良い方法を常に模索し、ご提供いたします。
術後の患者さんの生活の質の最大限の向上を求め、より良い方法を常に模索し、ご提供いたします。
循環器科
小児がん治療で使用されるある種の抗がん剤は心毒性があり投与量と比例して心機能障害を起こすことが知られています。また、放射線治療も照射部位によっては心臓に影響を及ぼすことがあります。また、肺障害がおきて心臓に影響がでることもあります。当科では、がん治療前、治療中、治療後、また長期フォローアップ中に、心エコー検査などを定期的に行い心機能の評価を行っています。心機能障害を認める場合には、主科をはじめ多科と連携し治療にあたります。
内分泌/糖尿病・代謝内科
小児がんに対しては、化学療法、放射線治療、外科的治療など強力な治療が行われます。
これらの治療は様々な臓器に影響を及ぼし、治療中から治療後にその機能を低下させることがあります。これを晩期合併症といいます。この晩期合併症の中で頻度も多く注意しなければならないのが内分泌代謝異常症となります。具体的には、「背の伸びが悪くなる」、「思春期が遅れる」、「大人の男性・女性への成熟が進まない」、「骨が弱くなる」、「血糖値が上昇しやすい」などです。当院では、これらの内分泌代謝異常症が起きていないか定期的に診察し、治療可能な症状に対しては早期に発見し適切な治療を提供しています。
これらの治療は様々な臓器に影響を及ぼし、治療中から治療後にその機能を低下させることがあります。これを晩期合併症といいます。この晩期合併症の中で頻度も多く注意しなければならないのが内分泌代謝異常症となります。具体的には、「背の伸びが悪くなる」、「思春期が遅れる」、「大人の男性・女性への成熟が進まない」、「骨が弱くなる」、「血糖値が上昇しやすい」などです。当院では、これらの内分泌代謝異常症が起きていないか定期的に診察し、治療可能な症状に対しては早期に発見し適切な治療を提供しています。
腎臓内科
小児がん診療では、治療に用いる腎毒性のある抗がん剤や、腫瘍自体や重篤な感染といった合併症のため、腎障害が起こることがあります。腎臓内科では、このような場合に、コンサルトを受け、腎機能の評価や管理、血液浄化療法(透析)を行っています。腎障害は、急性期に起こり、回復することが多いですが、3ヶ月以上慢性的に続く場合もあります。小児がん患者の晩期合併症としても重要であり、通常の診療に加え、小児がん長期フォローアップ外来に参加して、腎機能を評価し、適切なフォローアップの方針について検討しています。
小児感染症科(ワクチン外来)
化学療法を行うと免疫力が低下し、感染症が重症化しやすくなるため、その予防・治療が、がん治療の成否を左右します。小児感染症科では、感染症診療支援に加え、ワクチン外来で予防接種を行っています。
強力な化学療法や造血細胞移植を行うと一度ついた免疫が失われます。ワクチン外来では、安全で必要なワクチン接種と費用負担軽減のための行政手続きの支援をします。
感染症は手指衛生やマスクだけでは防ぎきれません。家庭内ではこども達に広がりやすく、外泊中に感染すると小児がんの治療が遅れます。ご家族も、遅れず定期接種を完了し、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の予防接種をして、治療するこども達を応援しましょう。
強力な化学療法や造血細胞移植を行うと一度ついた免疫が失われます。ワクチン外来では、安全で必要なワクチン接種と費用負担軽減のための行政手続きの支援をします。
感染症は手指衛生やマスクだけでは防ぎきれません。家庭内ではこども達に広がりやすく、外泊中に感染すると小児がんの治療が遅れます。ご家族も、遅れず定期接種を完了し、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の予防接種をして、治療するこども達を応援しましょう。
遺伝染色体科
近年、がん細胞でおこる遺伝子変異を網羅的に調べ、診断・予後の判定や治療に役立てる「小児がんゲノム医療」が急速に発展しており、当院でも積極的に推進しています。一方で、がん遺伝子解析により、一部に生まれつきがんになりやすい遺伝子変異を認める「遺伝性腫瘍」が判明する場合があります。この場合、血縁者が同じ遺伝性変異をもっている可能性があり、小児がん診療と遺伝医療との連携は必要不可欠になってきています。遺伝カウンセリング外来では、臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーのチーム診療の中で、遺伝性腫瘍のある患者さんやそのご家族に対し、正確な遺伝学的情報をお伝えし、自律的な意思決定を支援します。
集中治療科
小児がんの患者さんは長い治療経過の中で、がんと闘うだけでなく、感染症などの合併症や薬の副作用とも闘わねばならない場面にしばしば遭遇します。なかでも、免疫力が低下した状態で感染症が重症化する敗血症と、造血幹細胞移植後の呼吸不全は、命に関わることも少なくありません。集中治療科ではそのような状態に陥った患者さんに対して、PICUにおいて人工呼吸器や強心薬・昇圧薬といった全身状態のサポートを迅速に提供しながら、患者さんが合併症を乗り越えてがん治療に戻って行けるようお手伝いします。
リハビリテーション科・室
小児がんの治療は、手術療法、化学療法、放射線療法などの治療を組み合わせた集学的治療が必要となり、長期間の入院治療を要することが多いです。一般に、がん治療中および治療後の運動療法や認知機能訓練等のリハビリテーション診療は、関連するガイドライン等で推奨されています。リハビリテーション科・室では、治療中における体力低下の予防、日常生活活動の改善といった生活の質の向上や、治療後における学校などの社会生活への復帰に向け、患者さんの状態に応じて理学療法、作業療法、言語療法といったリハビリテーション診療を行っています。
こころの診療科
小児がんを病むことや、病気と闘うために治療を受けることは、子どもにとって大きな試練になります。病気そのものや治療がひき起こす痛み、治療の不快な副作用、体つきの変化などはもちろんですが、好きな遊びや学びの機会が損なわれること、友達との仲間関係から疎外されることのほうが、子どもには苦痛かもしれません。その中には、不安や苛立ちを募らせて情緒が不安定になったり、抑うつを呈する子どももいることでしょう。そうした子どものメンタル面の評価を行い、必要な環境調整や苦痛を緩和するお薬を考慮するのが、私たちこころの診療科の大事なコンサルテーション業務になっています。
こころの診療科の詳細はこちらよりご覧ください。
こころの診療科の詳細はこちらよりご覧ください。
放射線科・放射線技術室
放射線科・放射線技術室では画像による診断と、腫瘍などの病気を治したり小さくしたりするために、放射線という目に見えないビームを体に当てる放射線治療を行います。また、血液を造る細胞を移植する際に起こる拒絶反応を抑えるために、前処置として全身にビームを当てる全身照射(TBI)という治療も行います。全身照射などの長時間の治療でも飽きずに受けられるよう、好きな音楽や映像を流すことができ、治療中は患者さんを数台のモニターで観察することにより安全面に配慮しています。血液腫瘍科医師、放射線科医師、診療放射線技師に物理士、品質管理士といったスタッフを加え、治療の効果が大きく副作用が小さくなる一番良い方法を協力して検討しています。
看護部
小児がん治療に従事する看護師は小児がんに関する教育、指導を受け、小児がん治療に必要な看護技術を習得しています。またこどもに病気をどのように理解してもらうかについては、看護師が中心となって、医師やチャイルドライフスペシャリスト、保育士と協働し、お子さまの好きなキャラクターや遊びを介して、病気のこと、治療のこと、必要なセルフケアの習得などを説明し、納得(アセント)を得ます。外来では外来化学療法における看護支援はもとより、自立/自律支援、内服抗がん剤取り扱い指導などを行っています。関連部署には多くの「小児がん相談員」研修修了者を配置しており、ご家族の相談に応じられる体制を整えています。
薬剤室
薬剤室は医療チームの一員として、患者様に安全で適正な薬物療法を提供し、安心して治療を受けていただけるよう支援しています。薬剤師は治療薬(抗がん剤)や副作用を軽減させる薬が適正に処方されるよう医師を支援し、医師の処方が正しい内容であるか監査を行います。注射の治療薬は全て薬剤師が無菌的に混合調製しています。他にも成人用の錠剤しかない内服薬を小さい患者様に投与する場合は粉砕して散剤として提供したり、患者様の年齢等に応じて治療スケジュールや副作用対策を分かりやすく説明します。薬剤師は、お薬を使うにあたり困ることの解決方法を患者様や医療チームのスタッフと一緒に考え、患者様を支援します。
心理療法室
小児がんの治療は経過が長く、その時の状況によって、お子さまにも、ご家族にも、さまざまな不安やストレスが生じます。そのため、お子さまとは遊びやおしゃべりを通じて、ご家族とは個別の心理面談等を通じて、その軽減のお手伝いをします。また、心理検査を通じて、治療の評価を行ったり、お子さまの発達や知的な能力に関するご心配についてご相談に応じます。心理相談や、心理検査は、各診療科の医師からご依頼をいただく形で対応が始まります。ご希望の場合は、まずは各診療科医師にご相談ください。
成育支援室
成育支援室には、9名の療養支援に関するスペシャリストが所属し、入院するこどもときょうだいを含む家族を支援しています。入院により大きく変化した環境の中でもこどもが成長発達を維持できるように、遊びを通して、発達段階に応じたかかわりや環境の調整、また、退院後の生活を見据えたかかわりをしています。支援のときは、こどもが、その子らしく病院で過ごせること、治療や手術・検査について知りたい気持ちや不安な気持ちに寄り添ってもらえること、主体的に治療に臨むことを大切にしています。必要に応じて、手術や検査に付き添ったり、医療スタッフからの説明をこどもと一緒に聞いたりします。
成育支援室の詳細はこちらよりご覧ください。
栄養管理室
小児がんの治療の中で、味覚の変化や口腔内の異常、嗅覚の変化などがおこり、いつもの食事が食べられなくなることがあります。そうしたなかで、こどもの食べたい気持ち、家族の食べさせたい気持ちを尊重し、どんなものなら食べられるか個別に相談し、対応しています。また、選択メニューや行事食、おやつバイキングなど楽しめる機会を設けたり、食事がとれないときは、チキンナゲットやフライドポテト、チョコクッキー、シリアルなど、比較的食べやすいものも常備し、希望があればすぐに提供できるようにしています。食事は成長期のこどもにとって大切なものです。私たち管理栄養士は、食を通じてこどもに寄り添って支援していきます。
ファシリティドッグ
ファシリティドッグとは、一つの施設で活動するために、専門的に育成された働く犬のことです。ファシリティドッグとペアを組んで活動する職員をハンドラーと呼び、臨床経験のある看護師が務めます。2010年に日本で初めて、当院に導入されました。ファシリティドッグは、 触れ合い活動だけでなく、骨髄穿刺や腰椎穿刺などの検査や、放射線治療への付き添い、リハビリへの介入など、治療の場面にも介入しています。ファシリティドッグがこのような場面に付き添い、子どもたちの気持ちに寄り添うことで、不安やストレスを軽減する効果が期待できます。また、治療を前向きに捉え、自尊心を保てるよう、子どもたちの生活の質の向上を目指します。
シャイン・オン!キッズ - 小児がん、重い病気と闘う子どもたちと家族の支援のために (sokids.org)
シャイン・オン!キッズ - 小児がん、重い病気と闘う子どもたちと家族の支援のために (sokids.org)